No.40  梅雨  2017625

空梅雨

畑にとって、雨は必須。

特に梅雨時は野菜のほとんどが目を吹き始めるので雨は欠かせない。

折角目が吹いても土に水気がない直ぐに枯れる。

芽が出て根を張っても水気がないとそれも枯れる。

ほんの少しの水気でもあれば野菜はそれを旨く吸い取る。

この浸透圧による水の吸収力には感心するばかりだが、とにかくその一滴の水が無くなるという事態が起きる。

今年は梅雨に入る入ると言われながら、とんと雨が降らない。

明日は雨だろうと期待すると限って雨が降ってもほんの少し、シャワーにもならない。

ほんの少しの雨ではまず土を濡らす程度。

土の中には到底水が行かない。

いわゆる埃舞い散る畑である。

如雨露で水をやるも焼け石に水。

土埃が舞う程度だ。

沢山の水を与えればよいものだが、山の斜面を往復しての運べる水の量は限度がある。

大切なもの、ひ弱い野菜を中心に水を与える。

ところが日照りに強いと思うネギ、たまねぎなどもこの空梅雨では枯れ始める。

ジャガイモだけは空梅雨に強い。

むしろ空梅雨では病気が発生しないので万々歳だ。

えごまはわが畑の救世主。

一度植えれば空梅雨に耐える力がある。

落ちこぼれたえごまの種が芽を出す。

一度芽を出すと雨がなくともすくすくと育つ。

ただ、わが畑ではそれを植え替えることでえごま畑とする。

この植え替え作業が空梅雨だと最大の難関。

えごまを引き抜くと直ぐに萎れ始める。

早いうちに水をやりながら植え替えないとほぼ萎れ枯れる。

日出っていれば特に萎れは早い。

曇りだとか夕方だと時間を稼げる。

一度萎れたえごまを回復させるのは厳しい。

他の野菜と違ってえごまは雨が少量でも良い。

余程根からの水の吸収力、根での水のため方が強いようだ。

えごまが雑草の中で育っていると周囲の雑草の水分を利用するらしい。

周りの雑草を引き抜くとどうしても水分不足となるようだ。

要するに今年の空梅雨には往生した。

 

梅雨入り

梅雨入りが宣言されて本格的な雨が降ったのは22日が初めて。

この間天気予報を聞きながら一喜一憂しながら雨を待った。

梅雨入り宣言は水害、貯水量、畑作には欠かせない情報のようだ。

梅雨入りが宣言されれば野菜の種をまく。

この時に雨が降らないと延々と芽が出てこない。

その野菜の芽が出ても枯れるに違いない。

野菜の植え替えのタイミングであるが雨が降らないと植え替えた野菜が枯れる。

こうした時には植え変えることのない雑草は元気だ。

彼らには強力な根が張っている。

雨でも降ろうものならばその勢いはさらに増す。

だから梅雨入りは野菜と雑草との競争が待っている。

梅雨入り前に雑草を抜き取る作業が重要だ。

刈り取るだけでは根を張った雑草の成長には負ける。

草抜きは日課である。

今年は空梅雨だったので雑草の抜き取りは進んだ。

例年のようなうっそうとした雑草の姿はない。

逆に野菜の芽も少ないので、どちらがどうとも言えない。

梅雨に入り忙しくなる。

種を撒き、野菜の植え替えをやり、雑草を抜き取る。

野菜も成長が激しくなる。

その野菜の競争力を高める作業が草取りだ。

それに野菜の成長を妨げる害虫退治も大切だ。

今年は久しぶりにキャベツを植えた。

キャベツの芽が出て植え替えも行った。

流石に水を運んで成長を手助けした。

確かにキャベツが育つと青虫が来る。

彼らはちょうちょが卵を産み付け直ぐに青虫となる。

見る見るうちに青虫の成長に合わせてキャベツは筋だらけだ。

キャベツが虫の葉っぱを食べる以上に育てればやがて食べれるようになるのだが、道のりは遠い。

キャベツ、青虫、雑草と三つのバランスは人間の手を入れる以外に勝ち目はない。

梅雨入りでえごまにも虫が付き始める。

日照りでは発生しないえごまの葉っぱを食う虫も梅雨入りだと活発になる。

実はこの虫、黄色くて黒の斑点、単なる団子のように派の植えぬ広がる塊、そもそもが一体の虫なのか微生物の集まりかも分からない。

梅雨入りで百姓は一瞬に忙しくなる。

要するに百姓の農繁期である。

 

異常気象

もうすでに沖縄では梅雨が終わりらしい。

梅雨前線が太平洋高気圧に追われて北上する様子が伝えられる。

農業をする立場としては根梅雨前線の動きが気になる。

一昨日は大変な雨で畑は潤った。

それでも今日は暑い一日畑の土が乾いている。

従って、植え替えたえごまとかナスが萎れて見える。

これは彼らの生命力に掛けるしかない。

数日はこの天気が続く。

ジャガイモ収穫には都合がよい。

漸くジャガイモ目当てに猿が動き出した。

軍団の偵察隊が鳴いているので、早速手製のパチンコを放った。

手製なのでなかなか旨く飛ばないが猿は怯んだようだ。

1つ越えて爆竹がなる。

彼らが移動したのであろう。

猿も必至で餌をさがすのだが、人間も必至。

油断すれば数十匹の集団が畑を荒らす。

共存共栄の気持ちはあるが、彼らには限度がない。

緊張のバランスが必要なのだ。

まだ梅雨なので数日後には雨が期待できるらしい。

その時にはまたエゴマやネギの植え替えが出来るだろう。

雨が降れば猿もジャガイモを狙いに来るのが難しい。

人もジャガイモが掘り辛い。

雨の日に掘るジャガイモは腐りやすい。

何度も経験したことだが病気が蔓延する。

どうも梅雨と言いながら梅雨らしくない。

雨の量が異常に少ないのだ。

畑の上の方に置いた風呂桶、雨水をためるためだがほとんど水が溜まっていない。

勿論100mm程度の水はたまったようだ。

でも数日の天気が続けば桶の水は干上がる。

この夏の成り行きが心配だ。

どうもところどころ大雨や雹が降るらしい。

日本列島の中にところどころ砂漠が存在するようになるかもしれない。

要するに日本列島全体を梅雨で覆うことはない。

既に台風も発生しているらしいが、台風も通過す地域とそうでない地域では雨の量が全然違う。

日本列島を満遍なく梅雨前線で雨を降らすことはないようだ。

きっと昔はそうだったに違いない。

飢饉と言われる時代は別として。

 

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