No.42「地域民主主義」を実験する「マンション団地のコミュニティ形成運動」 2014年1月23日
古希を過ぎて、わたしは無為徒食で過ごしている。悠々自適の人生のゴールデンタイムである。偉人は、私財をなげうって社会貢献で名を残す。凡人のわたしには、それはできない。
老後を過ごす控え目のわたしの社会参加は、共生思想を老/終業期の道楽とする地域コミュニティ形成への参加である。良寛さんをまねて(足元にもおよばないけれど)「老人と子供らが遊ぶ」コミュニティ形成である。
テレビを見て、「却来」という言葉があるのを知った。「もとの所にもどること」という意味。老後を生きる人生論―少壮老の人生三毛作、往還思想、下り坂思想にかさなると思った。
社会的役割をおえて老後を生きる希望を、未来を担う少/学業期をすごす子供たち・学生の応援に求める。希望とは、過度な管理規制社会への反抗心である。
その理由は、直接体験の喪失、間接的なバーチャル社会に生きる「幸福な閉塞感」である。希望とは、つぎに図式化した近代化への「へそ曲がり」である。
Ⅰ.直接的な人間関係の劣化
① 直接的な人間関係 ―-近代化→ ③記号情報環境
Ⅱ.直接的な自然環境の劣化
② 直接的な自然体験 ―近代化-→ ④人工物環境
希望とは、①直接的な人間関係、②直接的な自然体験への「却来」にほかならない。この生活自己への実践が、わたしの了解自己である。( No.4 No.5 三つの自分)
その実践に向けてまず、マンション団地の「住民意識と団地経営システム」を議論する有志グループを立ち上げる。「地域コミュニティ研究会」と仮称する。テーマは、マンション管理組合の業務のひとつである「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」である。
それをテーマにして、地域および外部の有志と熟議しながら、できる範囲で体を動かしたい。飲み代を少し節約し、小中高生へ奨学資金クーポン券を提供して、「地域コミュニティ社会システム」の創出に加担したい。
私有―共有―公有という枠組みから社会を観察したとき、立体長屋のマンション団地には、いまどき珍しく「共有地、共有施設、共有空間」が存在する。近代化とか都市化とは、共同体の解体による「私:自分主義」と「公:国家主義」の私公二階建社会化に他ならない中で、高層マンション団地という超人工的な生活環境に、解体したはずの「共:コモンズ」が出現していることは、歴史のパラドクスであろうか。
だからこそ、「共空間」を抱えるマンション団地の経営は、「形骸化した戦後民主主義」と蔑称される汚名をはらす、格好の「民主主義を鍛える」社会的実験場になりうるコミュニティじゃないかと考える。「共有施設を共同管理する」という「自分たち、自治社会、共空間」の自発的な運営こそが、もっとも民主主義の名に値するはずだと思うからである。
そこで、「地域民主主義」を実験する「マンション団地のコミュニティ形成運動」を構想する。
「マンション団地経営の地産地消をソーシャルビジネスで実現する」運動である。
この構想は、つぎのようなイメージである。
・新興マンション団地の地域ブランドを創造する自発的なコミュニティ形成活動
・共有資産の「ハードな維持管理」だけでなく、「ソフトに活用」する人間関係性の創造活動
・住民の意識と活動の仕組みが相互作用しながら自発性を高める仕組み創り
・小中高生が参加する「海洋教室」と「地域学習塾」を、老人が支援する仕組み創り
・管理会社に委託しているマンション管理業務の一部を、地域で取り組む仕組み創り
・住民が納める管理費が、住民交流活動により地域内で循環する仕組み創り
・私的な資本主義ビジネスではなく、公的な税金ビジネスでもなく、共的な地域コミュニティビジネスを創出する。
●上の構想を実現するホップ、ステップ、ジャンプの工程を、概略以下のようにイメージする。
1年目 2年目 3年目
a.海洋教室 ・試行 ・継続 ・拡大
b.地域学習塾 ・説明会 ・試行 ・継続
c.地域業務受託 ・研究会 ・組織化 ・業務受託
●構想実現の基本的なシナリオを、概略以下のようにイメージする。(案)
a.海洋教室
②地域周辺の水辺、海辺での釣り大会等の実施は、外部のNPO等組織に委託する
③海洋教室の運営を手伝うアルバイト学生を募集する
④海洋教室に継続的に参加する小中高生の数を、初年度10名前後の目標とする
b.地域学習塾
①海洋教室に参加するアルバイト大学生の中から講師を募る
②海洋教室に参加する小中高生に、地域学習塾の魅力を説明する
③地域の小中高生の保護者に、地域学習塾の理念を説明する
④地域学習塾の実施は、外部のNPO等組織に委託する
c.地域業務受託
①仮称「地域コミュニティ研究会」の会員を募集する
② ンション団地管理組合の業務内容を精査し、「自分たち」で可能な業務を仕訳する
③責任をもって業務を受託できるよう信頼されるNPO法人等を組織する
④団地管理組合および管理会社等に向けて、業務受託提案書を作成する
⑤住民が納める管理費が、住民交流活動により地域内で循環する仕組みを創出する
●外部のNPO等との連携
過度な管理規制社会にあらがって生きる「幸福感」を、①直接的な人間関係、②直接的な自然体験に求めるNPO等がすでに活動している。
「地域民主主義」を実験する「マンション団地のコミュニティ形成運動」は、まず以下のNPO等を応援させてもらうことからはじめたい。「一緒に楽しくてワクワクする遊びと学びの場づくり」への参加である。
・海洋教室
・学習塾 FreeSpace http://freespace-hino.jimdo.com/
●構想実現の方法論
「マンション団地のコミュニティ形成運動」のキーワードは、住民同士のコミュニケーションの活性化である。実践的かつ理論的な問題は、「住民同志のコミュンケーションの活性化は、いかにすれば可能か?」、「仕組み、道具、制度、組織をどうするか?」、その「知と方法は?」である。
その「知と方法」のひとつが、「社会システム理論」である。社会システムを「コミュニケーションの連鎖」ととらえる社会学、システム論、方法論である。
「マンション団地のコミュニティ形成運動」に、「社会システム理論」の専門家、研究者の指導もお願いしたい。