No.39 マンション団地の管理組合と自治会の関係について

   20141月17日

 マンション団地経営における自発的なコミュニティ形成を熟議するために、管理組合と自治会の関係について、基礎的な知識を共有しておきたい。

●管理組合は、共有施設等の管理、保守によるハード的な住環境の向上に取り組む

●自治会は、住民どうしの良好な人間関係によるソフト的な生活環境の向上に取り組む

 

今から6年前の平成201、わたしが移り住んだマンション団地の自治会設立総会が開催された。そこで、議長より「自治会と管理組合について」の説明報告がなされた。その議事録の一部を抜粋する。

1. 自治会と管理組合について

議  長  

管理組合があるから自治会は必要ない、のじゃないかとよく聞かれます。管理組合と自治会は同じようなものではありますが、違いを少し説明させていただきます。

自治会と管理組合では加入する人が異なります。

自治会は地域住民が任意で活動に参加する、住民なら誰でも構成員になれます。

管理組合の場合は、区分所有者全員が強制的に加入し構成員になる。区分所有者の家族や占有者、賃借人は構成員になれないといった違いがあります。

「賃貸で借りていると自治会には入れないと思う」という方がいましたが、自治会というのは、このマンションに住んでいる方は全員が参加できるものです。

一方、管理組合は、区分所有者、マンションを購入した所有者しか参加できません。

目的としては、自治会の対象地域に住む住民同士のコミュニケーションの活性化を図ることを目的としています。それに対して管理組合はマンションの建物や敷地、付属設備などを維持管理し、住民の快適なマンション生活を支えるといった違いがあります。

また、法的定義という面では、自治会は特に法的な位置づけはなく、勝手に作り、解散することができます。今回、自治会を設立しますが、盛り上がらないといつか自然消滅するかもしれません。

それに対して、管理組合は区分所有法第3条で「区分所有者は全員で建物並びに敷地および付属設備の管理を行うための団体を構成し…」と定義されています。法的にはこうした違いがあります。

 

最後に具体的な活動においての違いですが、自治会は地域全体の祭りや交流目的の自治会単位の祭りや、区域内の除草や清掃作業などのボランティア活動を行います。

それに対して管理組合は、エレベーターや機械式駐車場のメンテナンス、外壁や屋上、共用廊下などの定期的な修繕を計画・実施、消火設備の定期点検を行い、結果を管轄消防署へ報告、給排水設備の点検と定期的な清掃というように活動おいても、自治会と管理組合はその役割や意味合いが全く違う組織です。

ただ、特徴としてここの自治会は、管理組合と対象地域が全く同じ地域になりますので、構成員がほぼ同じとなります。

よって、自治会はマンション入居者を対象、管理組合はマンション所有者を対象としているものの、お互いの連携をうまくすることによって一層、この地域がよりよくなるということです。

 

議  長 

 それでは、自治会規約(案)についてご質問、ご意見を受けたいと思います。

 

質 問 者 

会費の件を確認したいのですが、区分所有者につきましては口座引落しで自動的に100円払われているということでした。自治会は任意加入という形になるという話ですが、もし自治会に入りたくないという方の場合100円はどういう扱いとなりますか。

 

議  長  

自治会の参加、不参加についてですが、自治会費は全戸を廻って集金するわけではなく、管理組合から一括して会費をいただく形になります。

管理組合からコミュニティ形成のための資金として自治会にコミュニティ形成を依頼しているといった形になるので、参加したくないという方も、実際は管理費の中から自動的に払っていただくという形になると思います。その根拠ついては重要事項説明書に記載されているのでご了承くださいということになると思います。

              

2. 「2007年(平成19・20年度) 自治会事業計画の基本方針」からの抜粋

「自治会員一人ひとりが、集合住宅において、共同生活者であることを自覚し、思いやりに基づく相互扶助によって、あたたかい人間的なコミュニティの形成」を基本理念とする。

集合住宅において、思いやりに基づく相互扶助によって、近隣自治会などと連携しつつ、安全で安心な地域コミュニティの形成に至る運営をおこなう。

「“街づくり運動”参加とコミュニティを形成」

自治会の基本理念は、「地区住民が生活の場を基点として、“街づくり運動”に参加し、地域社会の発展を目指して、相互扶助の精神で話し合い、また協力しあって、心の通い合うコミュニティを形成すること」であります。

「トップダウン型でなくボトムアプ型運営」

本自治会は新しい自治会として、地区に住まう住民の声を限りなく吸い上げ、トップダウン型でなくボトムアプ型で発展していく自治会を目指します。

「福祉」

自治会規約の中に「福祉と親睦」の言葉がありますが、福祉に関しては、設立の現時点では白紙状態です。新しい自治会ですので、はじめから何でも出来るというわけではなく、今後役員会で協議すべきことと思っています。また、これから経験を積んでいくことも必要かと思っています。

「自治会と管理組合との連携」

自治会の特徴は、管理組合と対象地域が全く同じ地域になりますので、構成員がほぼ同じです。よって、自治会はマンション入居者を対象、管理組合はマンション所有者を対象としているものの、お互いの連携をうまくすることによって一層、この地域がよりよくなることを目指します。

今年度は、団地内の日常生活上のルール作りに関しては、団地管理組合にその役割を委託し、自治会は住民同士のつながりを促進するコミュニティ活動を重点的に行いたいと考えます。

 

3.事例 平成25年度 自治会事業計画より抜粋編集

(1)基本方針

自治会員一人ひとりが共同生活を通じ、会員相互の福祉を増進し、併せて会員の親睦を図り、地域の向上発展を図る」ことを目的として、「自治会役員・監事・理事はもとより自治会員一人ひとりが、集合住宅における思いやりに基づく相互扶助によって、安全で安心な地域コミュニティを形成する」ことを目標として活動する。

 

(2)諸活動方針

 *広報活動

   自治会ニュース、県のたより、市報、区報などの回覧、掲示、ホームページ掲載活動

 *コミュニティ活動

   住民参加型のイベント開催、サークル活動、近隣自治会との協同イベント
(鯉のぼり飾り、納涼盆踊り、ラジオ体操、神社祭礼参加、秋の祭り、クリスマス飾り、餅つき、百人一首大会、バスツアー、子ども遊び会、囲碁サークル、趣味・散歩の会、医療介護の勉強会など)

 *防災・防犯活動

   行政、団地管理組合、近隣自治会等と協力して取り組む

 *地区内環境整備

   地区内の清掃美化活動や植栽管理支援および近隣公園の清掃・草刈など

 

(3)組織、役員数

 ・会長1名-副会長4名―監事2名―理事13名 ― 各戸への回覧担当連絡員24名

 

(4)予算規模 

 ・約4百万円 

 *特記事項

  「月1回、各戸への回覧担当連絡員の活動謝礼として、毎月、500円相当の金券を支払う。」

 

以上  No.38  No.40  No.1