No.40 街づくり協議会について    2014118

 マンションを購入したとき受領した資料のひとつに、この地区の「デザインガイドライン」というパンフレットがあった。それは、横浜港に面した造船所跡地を住宅および商業施設等に土地改良するにあたって、街区の用途、配置、施設等の形状および景観などに関して、この地区の関係者たちが守るべき指針である。

 

1.売買契約書に添付された重要事項説明書より抜粋

● デザインガイドラインの設定について 

「xxxふ頭周辺地区土地区画整理事業施行地区を対象に、地区全体に秩序性を持たせつつ、この地区の個性を発揮し、住民や通勤者及び来訪者が、それを享受できるような魅力的な空間を創り、守り、そして育てていく上で、主に地区施設などのオープンスペースを対象とする「オープンスペースのデザインガイドライン」と建築物を対象とする「建築物のデザインガイドライン」が定められています。」

 

●街づくり協議会の設立について 

「デザインガイドラインを有効に活用していくために、xxx地区街づくり協議会が窓口になり、関係事業者に対し、個別調整を図っていくこととする。」

「売主と土地区画整理組合が、xxx地区街づくり協議会設立に関する覚書を締結する。この覚書を団地管理組合も継承していただきます。」

「本協議会は、xxx地区を常に魅力ある街として形成実現・維持・増進させるため、①美観・景観の維持 ②安全・防犯対策 ③施設の維持運営管理など、街づくりの実施方法について協議・決定するとともに、本会員相互の④融和と協調を図り、愛される街づくりを目指すことを目的とします」

 

2.街づくり協議会に関するやりとり・・・・・・自治会設立総会の議事録から抜粋

議  長  

街づくり協議会は、マンション地区以外の周辺地区の警備清掃、グラスフィールド、ボードウォーク、バスステーションの管理といったことを行っています。

街づくり協議会は、重要事項説明書にて管理組合の方は全員加入となっており、その活動を記載されている内容を紹介します。

「本協議会は、xxx地区を常に魅力ある街として形成・実現、維持増進させるため、美観・景観維持、安全・防犯対策、清掃、維持管理、運営管理を行う」

その費用として毎月、管理組合から971,250円払われています。926戸で割ると1ヶ月約1049円が支払われています。

自治会としては、グラスフィールド、ボードウォーク、バスステーションの管理と警備にお金が使われていますので、xxx地区を街としてはこういう風にしてほしいと提案していきたいと思っています。

 

質 問 者 

入居して分かったことですが、売主のパンフレットが記載している中の一部に、当初予定のサービスを受けているとは考えにくい状況にあります。こういった時、一住民としてどこに意見を出し、どこが事業主、売主と交渉するのか。ボトムアップ型に自治会に意見を集めて、それが街づくり協議会という流れで交渉という形になるのか、その流れをお伺いしたい。

また、自治会としてコミュニティ活動をするに当たって、スーパー店やスパ事業者など、何かやるにあたって協賛とかスポンサーとか出てくると思いますが、こうしたことも自治会から街づくり協議会に上がってやっていくのでしょうか。それに伴い自治会の構成員がスーパー店で買物をしましょうとか、そういう相互協力みたいなことをするのであれば、ボトムアップという形になっていくのか、流れを知りたい。

それから警備の時間帯に関する要望ですが、子どもが学校に通う時、小学生は集団登校をしています。その行き帰りに警備の人を配置してくれというような具体的な要望を出せるのかどうかをお伺いしたい。

議  長  

要望をどこに上げるかという話ですが、今までは団地管理組合しかなかったのですが、今後は自治会に要望を上げてもらって、そうした要望を受け、管理組合なり、街づくり協議会なりに伝えることになるので、一番言いやすいところに言っていただくのが一番良いと思います。

次に、周辺企業との協賛ですが、自治会規約案の第3条の2に「第2条の定める区域内および隣接区域内に事務所を置く法人、事業所を賛助会員とすることができる」ということで、私は自治会が出来ましたら最初にスーパー店にご挨拶に行き、xxx住民には配達してもらえないかとお願いしたいと思っています。

  3点目の警備に関しても、こういうところに警備員を配置してもらいたいという要望など警備員の配置に関しては、街づくり協議会に依頼することになりますが、自治会または管理組合に言っていただければ、そういう声が上がっている、何とか改善してほしいといった要望を伝えることができると思います。

 

質 問 者 

管理組合と自治会は表裏一体ですので、街づくり協議会に言う時には、一本化した方が良いと思います。

議  長  

その辺りはフレキシブルにこちらで判断して管理組合に通すべきなのか、街づくり協議会に直接言うのかということをしっかり役員会で協議して実行に移したいと思います。

自治会の基本理念は、「xxx地区住民が生活の場を基点として、“街づくり運動”に参加し、地域社会発展を目指して、相互扶助の精神で話し合い、また協力しあって、心の通い合うコミュニティを形成すること」であります

 

3. 街づくり協議会を構成する管理組合と周辺事業者との対立

 xxx地区のデベロッパーは、A鋼管とB製鉄が合併したCという製鉄会社の子会社のzzz都市開発株式会社である。開発後のマンション管理業務を受託する管理会社は、zzz都市開発株式会社の子会社であるzzzアーバン・・・であった。

20113月、「xxx街づくり協議会」そのものが、解散する事態に至った。

 開発後5年が経過した201112月時点では、zzz都市開発株式会社は、すでにデベロッパーとしての「街づくり」の事業主責任と地位を放棄している。そしてC街区マンションの管理会社は、zzzアーバン・・・からabcコミュニティに移った。 

このような事態に至る事実経過は、私見が入りやすいのでここでは述べない。ただ、この事態に至る客観的な事実だと思ってもよい次のことを再確認しておきたい。

 

●協議会の目的:

「本協議会は、xxx地区を常に魅力ある街として形成実現・維持・増進させるため、(途中略)本会員相互の融和と協調を図り、愛される街づくりを目指すことを目的とします」

 

●目的にそぐわない協議会の活動事実:

 「融和と協調を図り、愛される街づくりを目指して」協議するという雰囲気はなかった。

むしろ、「地位の継承義務の締結」要求を主題とした「管理組合と周辺事業者との交渉関係、対立関係、緊張関係」が、鮮明であった。

「地位の継承義務の締結」要求とは、筆者の理解するところ、管理組合が周辺事業者に締結を求めたつぎの2点である。

  A街区、B街区の事業者は、デザインガイドラインを遵守すべきこと

  D街区の事業者は、重要事項説明書記載の高さ制限、18m以下を遵守すべきこと

重要事項説明書 19.その他事項 [1]承諾事項 D街区(商業施設ゾーン)

D街区は、zzz社の換地予定地であり現在のところ、建物の用途は未定ですがzzzにより高さ18m以下(法規制上は高さ31mまで)の建築物(詳細形状については未定です)が計画される予定です。この計画はzzzが第三者に土地を売却、貸与したり、・・・ふ頭地先埋立整備事業が遂行された場合、及び埋立整備事業に伴なう開発計画の大幅な見直しが行われた場合は建物及びボードウォーク、グラスフィールド等を含めた土地利用についての計画が見直されることがあります。」

 

4.20141月の現状

 「街づくり協議会」を解散した後、「暫定街づくり協議会」、「街づくり協議会設立準備会」などと名称を変えながら、201211月、「xxx地区街づくり委員会」が行政と連携して発足した。住民を代表して自治会の担当役員と管理組合の担当理事が、防犯対策や地区の活性化にむけて、毎月1回、周辺事業者と各種の協議を行っている模様である。 この「街づくり委員会」の議論の内容は、住民のひとりである老生の日常生活に関係する事柄ではないようで、詳細は知らない。

 

これまで、No.38,No.39,No403回に分けて、管理組合、自治会、街づくり協議会について、基礎的な事実を共有するために書いてきた。

次回から、小生の人生論―少壮老の人生三毛作、往還思想、下り坂思想を生きるササヤカな社会参加―共生思想、老人倫理、老学コミュニティの視点から、私見を述べて「マンション団地コミュニティ形成」運動への協力者を募ることにする。

以上 No.39   No.41へ  No.1